Social Responsibility(SR) 社会的責任
伊藤建築設計室の考えるSR
建築は、さまざまな事柄に影響を与える行為です。
■地域
どんなに小さな建物でも、その場所につくることによって、その土地の利用形態や、周辺から見える景観などを変えることになります。
■環境
建物をつくる過程では、たくさんのエネルギーを消費することになります。さらに、その建物が維持される中で、また壊されるときにもエネルギーを必要とします。建物をつくるということは、その建物が存在する限り、地球環境に影響を与えることになります。
■経済
建物をつくるためには、たくさんの人や物を必要とします。材料の生産、加工、製造、運搬、保管、組立、それらの過程の中で人が関わり、コストがかかります。そのコストは地域に流通、還元されて、経済活動の一部に関わっていきます。
■技術
建物をつくるためには、様々な職人技術を必要とします。過去から受け継がれてきたものから、その時代に合う形に更新されたもの、新しく生み出されるものがあります。そして、それらの技術や職人を将来へ伝えていく必要があります。
■時間
建物は、つくるときも、つかうときも、時間をかけておこなわれます。建物に関わる人の時間の一部が建物の一部になっています。
また、建物を利用することで、景色の一部だったり、喜びや悲しみの場面だったり、記憶の一部として人の時間の一部に刻まれます。
■生命
建物は、地震や耐風、火災などの被害から人の生命を守る役割、アレルギーや風邪などから健康を守る役割、衝突、転倒、落下などの危険から守る役割を担っています。
建築は、人に対して直接的なことから間接的なこと、物理的なことから感覚的なことまで密接に関係する行為です。
設計とは、建物を無から生みだすという大きな役割を担っていますので、建築の行為の中でもとても重要な役割であり、責任を伴っています。
SRを果たすための活動
設計行為を通じて社会的責任を果たすために何をしなければならないか。活動を行っている地域の中でできること、地域の中でしなければならないことは何か。建築は人や地域や環境などに大きく関わっていると考えると、建物をつくる上で用いる材料や技術は何を選択するのが理想的かみえてきます。
愛媛県は、スギの生産量全国9位、ヒノキの生産量全国1位の日本有数の林業県です。そんな地元の林業が、日本全国の状況と同じように低迷しています。後継者不足や林業従事者の高齢化、地域産業の低迷などの問題を抱えています。又、木造を建築する職人技術や設計能力は、機械化や合理化の中で低下しています。
県産材の利用促進、木造住宅の設計技術の向上、職人技術の継承、さらに、過去から受け継がれてきた木造建築や技術を次の時代に繋ぐこと、SRを果たすためにそれらの活動に取り組んでいきます。